中高生の苦しさ

このところの劇場用のアニメ作品で、これは!と思ったのは「バケモノの子」(細田守監督)でした。細田監督の作品は心理の描き方がかなり好きで、よくできたフランス映画をみた後のような余韻が残ります。

以前はジブリ作品以外では、劇場用アニメをみることはあまりなかった私ですが、ここ最近は観てみたいと思うアニメ作品も多く、そして実際観ても期待を裏切られないことも多いので、私のように詳しくない者でもそう思うくらい円熟してきた分野なのかと思います。それとも”アニメだし..というような”私の個人的な偏見が単になくなったせいなんでしょうか。

今秋に映画館で

「心が叫びたがってるんだ」(長井龍雪監督)をみました。

小さい頃の出来事がきっかけで一言も話せなくなってしまった女子高校生が主人公のアニメ映画作品です。

そして先日はDVDで

「Colorfulカラフル」(原恵一監督)をみました。

森絵都原作のベストセラー小説のアニメ映画化作品。自殺して1度死んだはずの中学生男子の身体に違う魂が入って生き返るというストーリーです。

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どちらの作品もなかなか感動しました。中高生というのは可能性無限のうらやましい時期でもありますが実際には生きづらい年代でもあるように思います。特に中学生というのは、実は人生で一番つらい時期ではと私は思います。それでもこの時期にはそれを乗り越えるだけのエネルギーがでてくるのが人間の身体のよくできてるところ。

上記の2作品ですが、一言も話せなくなった少女も、自殺するほどの状況におかれていた少年もラストにはそれぞれ前進します。そのきっかけとなったのは、母親でもなく父親でもなく、ましてやセラピーなんかでもなく、まわりの1クラスメートだったというのが非常にリアルだと思いました。

少女の方は”恋”というのがキーワードにもなっているので、彼女が自分の問題を克服することになったきっかけがクラスメートの男の子だったというのはわりにわかりやすいです。恋というのはそういう力がありますから。

でも「カラフル」の方は、ぱっとしない凡人なオタクのクラスメートの男子が、重要な役割だったんです。

そのオタクな男子は、自殺した少年がいじめられていたときにかばってくれたわけでもないし、心を溶かすような優しい言葉をかけてくれたわけでもない。でも確実に少年に変化をもたらしました。

2作品とも面白いのは、問題を克服する鍵となったそれぞれのクラスメート達が、問題を抱えている前からずっとクラスメートだったことです。そこに、ずっと教室にいたのに、主人公達は以前は彼らがそんな役割をしてくれる人だったとは意識もしていなかった。

なぜ彼らの存在に気がつくことができたか?というと、それは主人公達の”見る目”が変わったからだと思いました。特にいじめを受けていた「カラフル」の主人公は、それまではまわりのクラスメートはいじめる奴らか、いじめをみて笑っている奴ら、もしくはそれに迎合している奴らの集合体でしかなかった。

それが自分の見る目を変えたら、仲間と呼べそうなやつもいたってことに気がつくのです。全部がクロでなくて、実はシロもいて、灰色なんかもいて、みたいに違ってみえてきたんだと私は解釈しました。

でもこの”見る目を変える”、”見方を変える”って、いうほど簡単じゃないです。大人だって難しい。そんなんで「カラフル」の自殺して死にかけた中学生に”違う魂が入った”という設定は秀逸の選択だな〜と思いました。そのくらいのことが起きない限り、1度自殺した中学生がまわりを違う見方でみる、なんて技にたどり着かないのかもと思うからです。

話はずれましたが、この2作品をみて、中高生の世界における他者=クラスメートや同年代の子供達、の存在は本当に大きいんだなと改めて思いました。親や先生に認められることよりも、たった1人でもいいから、同じ立場の子に認められること、それがどんなに価値を持つことか、わかるように思います。

無視したり、いじめたり、最悪なのもクラスの皆、でも折れた心を修復してくれるのも、自分に力を与えてくれるのも、またクラスの誰かだったりするわけです。そして自分もまたその中の1人であって、人をおとしめることも、救うこともできる存在だと気づくと、また違う見方を持てるかもしれません。

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