五味太郎さん

図書館で、五味太郎さんの子ども向けの本をみつけました。

私は五味太郎さんとか谷川俊太郎さんの作品を読むと、
どきっとする、いや、ぎくっとします。

自分の心の底で思っていることや、
子どものころには感じていたのにいつのまにか忘れたり、
すり減ったものをつきつけられたような気がして、ぎくっ!!とするんです。

今回みつけた本は
「じょうぶな頭とかしこい体になるために」(ブロンズ新社)というタイトルで、
かしこい「頭」とじょうぶな「体」が逆転しているところに、
すでにちょっとぎくっとしました(苦笑)。

はじめにこんなことが書いてあります:

『大人の言う事は素直に聞いて、
決められたことはきちんと守り、
出された問題にはうまく答え、
与えられた仕事はだまってやる。
決してさぼったり、ごまかしたりしない、
それが「かしこい頭とじょうぶな体」のよい子です。

言われたことの意味をたしかめ、
決められたことの内容を考え、
必要があれば問題をとき、
自分のために楽しい仕事をさがし出し、
やるときはやるし、さぼりたいときはすぐさぼる。
これが「じょうぶな頭とかしこい体」を持った、これもまたよい子です。』

本の中味は、子ども達の疑問、悩みと思われることに
五味氏流の答えが書かれているのですが、
どれも無邪気そうに書かれていて実際サティリカル(汗)。
ヒヤヒヤします。
読み終わったら、
あっしはいつのまにかこんな大人に成り果てていました…親分、すみません、
と五味氏に謝りたくなりました。

一見、子どもを理解しているよ〜、わかっているよ、いいんだよ〜と
子どもよりの意見を述べながら、
最後はうまく「社会でのよい子」に導こうとしている本はたくさんありますが、
五味氏の本はその手の本ではありません。

彼が自分で考え生きて経験してきて、本当に感じたまま、
子どもの純粋さをもったまま、答えた本だと感じます。
こりゃ、子どもの心に響くだろうな….

iroenm

私が一番ぎくっとしたのは:
”わたし ぼーっとしているのが好きなの ぼーっとしていてはいけないのか”
というお題のものです。一部抜粋させていただきます。

『せっせと勉強して、せっせといい学校に入って、
さらにせっせと働いて、せっせとお金を稼いで、
せっせとお金をためて、そして何をしたいかというと、
ぼーっとしたいんだと、これは笑い話です。』

それから、こんなことも:

他にも ”なにがしたいのか自分でよくわからないんだ”

というお題にはこんなことが書かれていました:

『人間にある目的、目標が生まれるのも自然なら、
それに向って努力するのもまた自然です。
その目的、目標がどんなものなのか誰にもわかりません。
当人にもよくわかりません。
そしてとりあえずの目的、目標がないというのもまた自然です。
その状態でいわゆる努力しないのもまたあたりまえです。
そこのところが分かっていない人が多すぎます』

ぎくーっ
この本は子どもでなく、大人が読んだほうがいい本だと思いました。

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